いソノてルヲ氏

スイング交遊録

 昨年一年間の交遊だが十年前に宮沢隆に出会った時のような胸のわくわくする音楽家である。彼の名は大原保人、ピアニスト。ダイナミックでよくスイングするピーターソン型、もう一つの顔はジャズ・クラブのオーナー。千葉市中央の繁華街にある「エイティ・ワン」がフランチャイズである。
 そのクラブ経営を基本に多彩な交友があり人脈があり、本人の人間的魅力が加味されて無限の可能性を秘めている。
 大原は1948年9月20日に福岡で生まれた。ピアノを愛好した素封家の父は教養としてのピアノを息子にすすめた。めきめき上達した彼は地元の高校から東京芸大に進学し、末はコンサート・ピアニストを目指すまでになった。戦前のことは知らないが、芸大とジャズは無縁ではなく黛敏郎がブルーコーツへ入団し、河辺浩市はジャズ・トロムボーンの第一人者になり、森寿男はリーダーになった。
 大原がジャズを神の啓示と感じたのはジョン・コルトレーン来日公演であった。以来、ジャズの魅力にとりつかれ、アドリブの腕をみがいていった。
 十年ほど前に原信夫とシャープス・エンド・フラッツに在団、ジャズ界でのキャリアはこの経験だけである。1980年代に大原というピアニストが在団していたことは記憶していたが、昨年になって交遊が深まったのは彼のディナー・ショー、リサイタル、それに所属している社会奉仕団体に私自身も関係していると言う偶然が重なったからであった。
 千葉で音楽家出身のクラブ・オーナーが集まるショーがあり、旧知のホテルマンに招かれて行って大原と再会した。ドラマーの八城邦義が遅れたのでリハーサルを手伝い意気投合した。毎年恒例の彼のリサイクルで尺八でジャズ演奏するネプチューン海山との共演にも、感銘を受けた。

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